とんだ我が儘女王だ…、彼はそう思いながらも知っていた。 彼女が平気で我が儘を口にするのは、自分の前だけだと。 「クリスマスツリー見に行かね?」 「暖かい場所なら良い。」 パーティー用の服とあって、七分袖から出た亜利哀の腕は白くなりかけている。 彼が近くに停めた車に乗って、駅の方へ移動する。 「馬鹿みたい、クリスマスなんて。」 「僻む(ヒガ)なよ。」 「僻んでないわよ。」 目の前を行き交う人々はカップルばかり。 駅前のイルミネーションより人の数が多い。