Quiet Christmas.


そんな彼女の質問にも慣れたようで。

「お前が通ったって聞いたから。」

誰にだよ。

「繁華街のギャング達に。」

あぁ、だから無事に通り抜けられたのか。

北街の繁華街の一角は、この男ではない族の管轄下。

それは一応、茨の族の上の組織にあたるんだけど。

…どうも亜利哀はよく思われていないらしい。

「で?今日はクリスマスパーティーとやらじゃなかったのか?」

「抜け出してきた。」

「お前って…。」

感嘆か感心か。

…いや、呆れだろう。

「もうここ嫌。」

「は?」

「潮の匂い嫌。」