きみの腕の中で



ゆっくりと上半身を起こした彼はソフトモヒカンに煙草だけ受け取って歩き出した。

私は、いまだにポカンと顔をしたままの人たちに軽く会釈だけして
同じようにソフトモヒカンにもぺこっと頭を下げた。

ソフトモヒカンはそっと微笑んで「じゃあね」って言ってくれた。
そのほかの人たちは、ポカンとしながらもハッとしたように会釈で返してくれた。


それを見て届けてから、先を歩く彼に


「そっちじゃなくてこっち」


と逆方向を指さした。


くるっと方向転換した彼が「俺んちこっちだから癖でよ」と言ったもんだから、
ポカン顔のみんなが一斉に笑顔になった。


「まだ帰んな」ってさっき言ったから、てっきりもう少し長居するのかと思ってたけど…

まあいい。