「君の悩みは何だニャ?」
黒猫は不気味な声で私に聞いてきた。
「え・・・悩みって・・・別に何にも・・・」
怖くて怖くて店から出たくてたまらなかった。
「嘘ついても無駄だニャー」
嘘?なんの嘘?
「悩みなんか何一つもないんですけど」
少しイラついた私はそう答えた。
「じゃあ君は誰を恨んでるのだニャ?」
黒猫は不気味な笑顔でそう聞いてきた。
「私・・・帰りますっ」
「誰かの裏切られたとか?」
ーーーどうして黒猫はすべて知ってるの?
「やはりそうだったのかニャ」
「っ・・・そんなことじゃないですっ。悩みも恨みも何一つもないので帰ります」
私はやっとドアを開けた。
「そんなの、絶対嘘だニャ」
ドアを開けて、やっと思い出した。
外は真っ暗だったんだ。
帰れない。
私はドアを閉じ、店にまた入った・
「どうして嘘だと言えるの?」
さっき言ったことの返事だ。
「だって、君にこの店が見えたということ時点で、君は何か悩みがあることっていう意味だからニャ」

・・・は?
どういう意味?

「この店は、満月の夜に、悩みがある人にしか見えないんだニャ」
「はぁ・・・」
「で、君はこの店に入った。わかったかニャ?」
雨の音が耳に入る。
「なんなのこの店」