『おい』



振り返るとそこには彼が走りながらこちらに向かってきていた。













次の瞬間思い切り右の拳で左の頬を殴られた。



そして勢いよく倒れ込んだ私をまた殴り蹴る。



今度は手に持っていたビニール笠で殴りはじめる。



倒れた時に落とした私の携帯電話を拾い上げコンクリートの地面に強く叩き付けた。



バッテリーが外れ、ストラップがちぎれ携帯電話が壊れた。



無残な姿になった携帯電話を横目に私は頭を抱え丸くなり、やめてよやめてよと叫ぶことしか出来なかった。






『大丈夫?!』





そう言ってまっ先に駆け寄って来てくれたのは2人組のホストのお兄さんだった。



『今警察呼ぶからね。おまえ、女の子に暴力振るっていいと思ってんの?』



私と彼の間に入り、もう一人は警察に電話をしていた。



『女の子だったんだ・・・傘まで使うなんて酷いな・・・』



意識が朦朧とする中、集まってきたタクシーの運転手達の会話が聞こえた。



『暴力振る奴なんかと付き合ってちゃだめだよ。』



泣きじゃくる私を宥めながらホストのお兄さんは言った。