あたしが、橘 奏を…。あれ?あたしは橘 奏をどう思ってるの?
前に、浩ちゃんに聞かれた時は、ハッキリと“好きじゃない”って答えられたのに、今は言えない。言いたくないという気持ちが大きくなる。
「分からない…」
答えが見つからず、思わずそう答えた。
その答えを聞いた亮太は、驚いた表情をした。
どうして、中途半端な事をしたの?あたしは一体、何をしたいの?
『高橋』
突然、あたしの名前を呼ぶ橘 奏の声が脳裏に響く。
なんで、どうして…?!
整理がつかず、考えすぎて頭の中がぐちゃぐちゃになる。
「そっか…。それでも、俺は唄の事が好きだ……て、未練がましいな俺」
亮太が、悲しそうな笑顔で言う。
なんで、亮太にこんな表情をさせてしまったんだろ……。
中途半端な自分が嫌いになった。