ツインの絆


和也は広志が遠慮もあって、悟と和也が立てた計画に躊躇していると、どうして、どうして、と返事をするまでまとわり付き… 
結局広志は、自分の中にある気持を全部しゃべって仕舞った。


すると不思議なことに気持が軽くなり… いろいろな体験をして今がある。


とにかく広志は、小学五年生の春、岡崎のここに来て、道子に出会い、和也と悟の友となり生まれ変わったのだ。






五月の夜と言うのに窓でも開けているのか、時々上からは楽しそうな笑い声が聞こえて来る。


腹の底から笑っている正真正銘の笑い声だ。


あんな笑い方をしたのは… もう忘れてしまった。


大輔は広志の態度に安堵の気持を抱き、事務所の階段を下りながらそんな事を考えている。


まるで自分が年寄りになったような気持だが、確かに最近あんなに楽しそうに笑った事は無かった。



野崎組の事務所は国道一号線上にある。


間口としては野崎の家と道子の家を合わせた広さがあり、実際の家族の玄関は康生の大通りに面した方角にある。


一階は駐車場スペース、二階が広志の税理士事務所も含めた事務所スペース、
そして三階が30人はゆうに暮らせる大部屋だ。


そこには大きな風呂とシャワーが三つ、トイレ五個、洗濯機が五台、
広い台所と全員が座れる大きなテーブルまで備わっている。


そして畳の敷かれた居住部分には、ロッカーを含めた物入れスペースが各自にあり、
住み心地に不満は無い。


狭いアパートで暮らすより開放的で清潔だ。


見習いを6年すると一人前になり、一応は一人暮らしを始めるのだが、
最近はそのまま大部屋に居座りたいと願う者も出て来ている。


家賃はただ同然、食事は頼んでおけば、正一さんが見習いの若い者に手伝わせて作ってくれるから生活費も安く済む。


本来一人前になった者には野崎のアパートがあるのだが、そこも評判がよく、
一度入ったらなかなか出ない。


二十年前、職人5人と見習いのあきらの6人で始めた野崎組だったが、
今では職人25人、見習い8人と言う大所帯になっている。


おまけに忙しい時には流れ鳶を雇うから大部屋はいつも賑やかだ。