ツインの絆


「広志さん、この事は秘密にして欲しいよ。俺、広志さんだけに聞いて欲しかった。」


「うん、分るけど… その河村アキと言う女だけなら僕が何とかする。
だけどヘロインが絡んでいるとなれば、バックに大掛かりな組織があるはず。

僕一人では… あきら兄ちゃんはそっちの方も顔が利くかも知れない。
本当は道子おばさんが適役だけど、まさかおばさんに相談するわけにもいかない。」



大輔は、広志が当然のように道子の名前を出したから、
身震いのようなものを感じてしまった。


大輔たちにとって道子は大伯母に当たるのだが、皆道子おばさんと呼んでいる。


そして大輔は、おばが父や母、野崎の職人達にも怒鳴っていたところを見て、慌てて隠れた覚えがある。


第一、数年でここに広い土地を手に入れ、野崎組を作ったと言うことで、大輔にとっては得体の知れない恐ろしいところのある、雲の上の人だった。


子供の頃、大輔は、真理子が偉そうな事を和也に言っているのを見た道子が、妹の分際で何と言う口の利き方だ、と怒鳴ったのを見た。


あの時は慌てて母が謝っていたが… 
とにかく誰がいても歯に絹着せぬ言い方で自分の気持ち、いや、正論を出す人だ。


そして、父を初め野崎の人たちからは絶対的な信頼を集めている。

自分は… 離れて見ていただけだから、野崎の一員として認めて貰っていないのかも知れない。


話しかけられたのも母の葬儀の時、それも短い言葉だけだった。


だけど確かに存在感のある人だ。




「広志さん、道子おばさんはもう73歳だよ。それに… どうしておばさんがあきらさんより強いのですか。」



とにかく大輔には実態の分らない道子だ。


ただ昔から、この広志や悟、それに和也をひいきにしているのは分っていた。