「あいつは精さんの事をとても大切に思い、なるべく負担をかけないように近くの西部高校を選んだ。あいつは努力家だから学力も和也や悟に劣らないだろう。
大学も大企業から金が出ているところを選び、成績優秀者は学費免除、という利点を生かした。在学中に税理士の資格まで取っていたのだから並ではないぞ。
道子おばさんも、金の事は心配するな、と言ったらしいが、自分は岡崎と、父の働いているこの野崎組が大好きだから、出身校は関係ない、と言ったそうだ。」
「ふーん、すごいね。俺、広志さんが大好きだよ。」
大好き、と言ってもそれほど話したことの無い大輔だったが、信頼の情を感じているのは確かだ。
「ああ、広志はいい奴だ。俺もあいつを見ていると和也がここに居るように感じる。
性格はかなり違っているが不思議と重なる。
行くのはいいが精さんが戻って来るまでだぞ。広志は精さんを待っているのだからな。」
「うん、分っているよ。」
「孝輔がそんな事に… 」
大輔は広志の居る事務所へ行き、孝輔の事を隠す事なく全て話した。
そして話を聞いた広志は想定外のことだったらしく驚いている。
野崎の家は今真理子の事で心痛だと言うのに、孝輔までが…
そのきっかけも真理子だったとは、と広志の顔もそう言っている。
「すごく怖がっている。俺… 可哀そうで見ていられない。
多分二週間以上ヘロインを体内に入れていたと思う。
放っておけばドラマで見るように発作が起きるのかなあ。」
「ヘロインか… 難しいなあ。
僕だって初めてのことだから分からないけど… とにかく様子を見て…
普段通りの生活が出来ないようなら対策を考えなければならないね。
だけど、意外と何もなくその内に薬も全部体内から出てしまうかも知れない。
孝輔の様子を見るのは大輔、君しかいない。頼むよ。
僕はあきら兄ちゃんに相談する。」
いきなり広志があきらの名前を出したから大輔は焦った。

