とにかく思春期の男子は性に対して一直線、一度たががはずれると,止まるところを知らないかのように突き進む傾向があるらしい。
この孝輔もその口のようだった。
初めはあれほど躊躇っていたと言うのに、二度目になると自分からアキの上に…
物憂い気分で家に戻った孝輔は… 改めて自分のとった行為を思うと、
自分の変化を家族に悟られまいとして、まともには家族の顔が見えなかった。
あの秘め事を感づかれないかと、目を合わす事が恐ろしかった。
父は腕の調子を気にしてくれた。
祖母たちも、自分に女性から電話があり、出かけた事を知っていても,
そのことには振れず、
食欲の無い孫を案じるような顔をしていた。
自分のまいた種だが… まるで針の筵に座っているような気分だ。
今のご時世、高校生の半数近くがセックス体験をしているらしいから、
別にそれほど悩む事では無いかも知れないが、
野崎の家では、母の事故死で明るみになった不倫話…
年頃の子供がいても雰囲気は全く違っていた。
それだけに、孝輔は自分の変化は自分だけの秘密にしなくては、
家族には絶対に知られてはならない、と自分に言い聞かせた。
食事が終わるまでテーブルに着いているのが苦痛だったが、
何とかやり過ごして二階へ上がった。
自分を見つめる大輔の視線が痛かったが、
孝輔は気付かぬ振りをして部屋に隠れ籠った。