ツインの絆


それなのにアキの強引な誘いに逆らえず何となく来てしまったが… やっぱり嫌だ。


孝輔は、地獄を見るよりも恐ろしく感じられた。


痛い… 絶対に出なくては、と思っていた孝輔の痛みを感じる右腕を、立ちはだかったアキはいきなり掴んだ。


そしてそのまま、自分が座っていたソファーに、痛みに耐えている孝輔を押し倒した。



「痛かった、ごめん、ごめん。あんたが我儘な事を言うから右が痛いと言う事を忘れてしまった。さあ、これを食べよう。何でも好きなものを飲んだら良いからね。」




起き上がった孝輔に、隣に座ったアキは、何でもなかったような顔をしてテーブルに乗っている物を勧めている。


何も手を出さない孝輔の口に、アキは笑いながら、自分が食べているサンドウィッチを押し込めたり、コーラ缶を持たせたりして楽しんでいるようだ。



「そんなにすねないでよ。ここなら3時間は誰にも邪魔されずに話しも出来る。私はあんたと二人っきりで話がしたいの。」




自分に応じない孝輔に、アキは含みのある言い方をした。


そして未成年と言うのに、孝輔の前で当然のようにビールの缶を開けて飲み始めた。


買ったと言うことは飲むのが目的とは分っているが、17歳と聞いたところの孝輔は、まるで他の星から来た異性人を見るような気持でアキを見ている。