ツインの絆


アキが、まだ昼にならないというのに孝輔を誘って来たのだ。


孝輔は指定された岡崎公園の菅生川まで来た。


昨日はただ散歩のつもりだったから、ジーンズに白っぽいトレーナー姿だったが、今日は鮮やかなブルーのシャツに同系色のチェックのシャツを重ね着している。


孝輔にしてみれば精一杯のオシャレをして来た。


何故そんな気持になったのか、自分でも分らない。


痩せてはいないが太ってもいない170㎝ある高校生の孝輔、品位が感じられる爽やかな雰囲気だ。



「何の用ですか。僕、困ります。」




孝輔は、体の線が浮き出ているようなピッタリとしたミニスカート姿のアキを凝視できなくて、目を逸らしながら声を出した。



「何が困るの。私はあんたが気に入ったのよ。ねえ、付き合わない。」




アキは慣れた手つきでバッグからタバコを取り出して吸い始め、孝輔に煙を吹きかけながら、付き合わない、と言った。


確かに見かけだけなら160㎝ぐらいの垢抜けしたアキはお似合いだが。


アキは孝輔のことに詳しいようだが、孝輔はアキのことは何も知らない。


河村アキと言う名前だけは聞いたが、それだけだ。


何歳かも分らないが、孝輔の目には20歳かそれ以上に映っている。


今まで、正常な男子としては嘘のような話だが、孝輔は異性に対して興味を持たなかった。


多分、母が浮気の末にくだらない事故死をして家族を悩ましたから、その事がトラウマになり異性に興味が無かったのだろう。


とにかくこれが初めての体験だから、偉そうな事は言えないが、孝輔はこう言うタイプの女は、興味はそそられるが自分の理想とする好みではない、と思っていた。


どちらかと言えば怖い気がする。


しかし… 断われば何をされるか分らないような不気味さもあり、いきなり目覚めた異性への興味心が加わり、誘われたら断われなかった。