緑ヶ丘高等学校… 昔はただのお嬢さん学校、ほとんど推薦、と言う、学力レベルは問題外の学校だった。
しかし最近は、入学するのもなかなか難しくなっているとか。
「だけど孝輔、あそこは元女子校だったから女が多い。
女には気をつけてよ。」
と、広志、最後は冗談のような口調で笑いながら言った。
僕は… もう女はこりごりだ。
しかしあの春香は別格、大輔も友達だ。
孝輔は顔を赤らめてそんな事を思っている。
「インターネットで調べたら、バイオリンだけのクラスは無いけど、
音楽の好きな人が集っているクラスがあるらしいよ。
それで良いよね。バイオリンは個別に練習したら良いと思う。」
広志は既にその高校に目星をつけて調べてくれていたようだ。
孝輔は岡崎生まれの岡崎育ち、自分のために母が探し出してくれた
名古屋の高校を受ける事しか考えていなかった。
勿論、県立の有名校や大輔が通っている西部高校は知っていたが、
自分が目的の学校に受かる事が全てだった。
もっとも一年でこんな結果になってしまったが。
と、今までならそう考えて落ち込み悩む孝輔だったが、
今は不思議と心が軽い。
転入する事には怯えも感じるが…
その先に何か光が見えるような気がする。
「よう、お前たちも来たのか。」
日曜日、孝輔と春香は広志の運転する車で、
会場となっている体育館へ向った。
すると高杉が笑みを浮かべて立っていた。
今も剣道を続けている73歳の高杉、
頭の白いものは仕方がないが、
背筋の通った、そのかくしゃくとした雰囲気は
現役時代を彷彿させている。

