孝輔は、初めの緊張は消えているが、
春香が何故自分の所に来たかもはっきりせずに、
明日の約束も決まった事に戸惑っていた。
しかし何となく心は決まった。
春香は神主になる事をそれほど嫌がってはいなかった。
ただ話し相手の友達が欲しそうだった。
ラーメン屋の早川もそんな事を言っていた。
大輔はいずれ野崎組に関わる。
自分は…
自分も岡崎が好きだし野崎組も、
いや、野崎組を引っ張っている父やあきらや広志、大輔が好きなのだ。
許されるものなら、自分も岡崎を基盤とした生活がしたい。
そうか、こんな所でぐずぐずしていたら駄目だ。
退学してしまったが… 早く次の学校を決めなくては。
自分だけ置いてけぼりにされてしまう。
今日は気分も悪くならないが安心は出来ない。
不安材料はいろいろあるが、全て自己責任。
それを乗り越えて進まなくては。
孝輔は広志のいる事務所に入った。
「いい子だね。」
広志は春香の感想を口にした。
「はい。広志さん、僕… バイオリンを続けたいと思います。
優秀な人ばかりが集るところでなくても、本当に好きな人がいるところで…
高校は近くが良いと思います。」
孝輔は正直に自分の気持ちを伝えた。
「そうだね。僕もそれが良いと思うよ。
昨年までは女子校だった緑ヶ丘高、今は共学で大学まである私学、
そこが名古屋のあそこの系列に入っる。
推薦状を貰って来たらスムーズに行くと思う。
幸い、まだ一学期だからそのまま横滑りで続けられる。」
孝輔も何となく名前ぐらいは知っている。

