アキとどこへ行き、何をしたかも隠さずに話した。
そんな事をする義務は無いのだろうが、
孝輔にとっては,それを自分の口から出す事が大切のように思われた。
そして、今の自分の状態がどうなっているのかも。
しかし、不思議な事だったが…
確かに自分の馬鹿さ加減に取り返しのつかない後悔が重なり、
どんな顔をして話したのかも分からなかったが…
心が軽くなってきたように感じている。
今までは、そう言う後悔や悔しさ悲しみ、
いろいろな感情を一身に溜め込んでいただけだった。
それが、思い切って声に出してみた事で、
それらの毒素が少しでも排出されたような感じだった。
いや、肝心のヘロインはどうなっているのか分からないが、
とにかく何らかの毒素のいくらかが排出された気はしていた。
そして春香は、孝輔がこれから体面するであろう醜聞の怯えに対しても、
嫌がるような顔をしなかった。
話には驚き、同情にも似た感情を表したが…
孝輔が話し終えた時、そんな重い話をしてくれて嬉しい,
自分も人には言っていない話を、と、春香も自分の事を話した。
そんな義理は無いのだが、
何故か春香も孝輔と秘密の共有を滲ませた。
それは… 自分は神主の養女で、
いつかは能見神明宮の神主になる。
普通の女学生が楽しんでいるような男女交際は出来ない。
それでも話し相手は欲しい。
孝輔のことは一年間と数ヶ月、
毎日のように同じ電車で見ていた。
いつもバイオリンのケースを大切そうに抱えて、窓の外に目をやっていた。
その姿を見るのが楽しかった。
と、孝輔が思ってもみなかった事を口にした。
もし嫌でなかったら友達になって欲しい、とまで言った。
大輔に時間があれば大輔も、と言う事を口にして、
広志が運んでくれたおやつをきちんと食べて帰って行った。
帰り際、試合を見に行きたいから何時に来れば良いのか、
を広志に確認する事も忘れなかった。

