「やっぱり、しばらくは休んだ方がいいな。孝輔、明日、学校へ連絡しておけ。」



医師の診立ては、顔のあざや腫れは時間薬だが、腕は今夜から熱が出るかも知れない。
頻繁に湿布を代えて熱がこもらないようにする事、だった。


孝輔は沢山の湿布と解熱剤を貰って帰った。


熱が出なかったら学校へ行っても構わない、と言われたが、名古屋まで通う孝輔を案じて孝太は休む事を口にしている。


孝太も祖母たちと同じように、毎日名古屋まで通うのは遠すぎる、と思っていたのだ。


アメリカの高校へ行ってしまった和也はともかく、山根のところの悟は岡崎高校、広志は大輔が通っている、家から一番近い西高だった。


高校のレベルなど気にしない、とにかく市内が良い、と思っていた。


しかし、いつまでも顔に出すわけには行かなかったが、妻の、不倫の挙句の事故死で一番ショックだったのは,他ならぬ孝太だった。


葬式の後、すぐに仕事に出ていたが… 必死に自分の心とたたかっていた。


その間に、2人の息子は、自分の志望校を決め、そこに向って頑張っていた。


結果を聞き… とても、遠いからやめろ、とは言えなかった。


今も昔も、かなり多くの高校生が名古屋まで通っているのだが… 





今日は火曜日、今週はこのまま休もう。

生まれて初めて、孝輔はまだ熱が出ていないのにはっきりと休む計画を自分の中に作った。