「かしら、終わりました。孝輔の様子はどうです。」



あきらと広志は孝輔の入院している病院へ戻り、
事の終了を孝太に告げている。



「ご苦労だったな。広志、お前怪我は無いか。」



孝太にしても、あきらが頼りになるのは分っているが、
広志はどうしても子供の頃のことが浮かび、
それと和也の姿と重なる時もあり、やはり気になる。


もっとも、二人がどんな活躍をしてきたのかは分っていなかった。


あきらが終わったと言うからには、二度と孝輔に害が及ぶ事は無いだろう。


それだけで父親としては十分だ。



「大丈夫です。僕もとびの子ですから。
でも、僕がいながら孝輔をこんな事にしてしまって… 」



広志はベッドで正体無く眠っている孝輔を見ると、また思い出したようだ。



「頭、大輔を連れて帰りましょうか。」



あきらは部屋の隅に置かれている長椅子で、
横になって眠っている大輔を見て声をかけた。


ギブスをしているから寝返りなどはどこでも出来ないだろうが… 
それでも服を着たままこんな所で寝転ぶよりも、
ゆっくりと自分のベッドで寝た方が良いだろうと思った。



「ああ、俺も帰るように言ったのだが、
どうしても孝輔の傍にいたいと言って聞かなかったから好きにさせた。
まあ、子供ではないからいいだろう。」



あきらの報告で、気持が穏やかになっている孝太の言葉も温かい。