ツインの絆


そして孝輔は和也の弟であり、
同じ家の,それも三つ並んだ部屋を一人ずつ使っていると言うのに、
一緒に遊んだ事も無ければ、ゆっくりと話をしたことも無かった。


食事の時も、同じテーブルに着いていたのに、
何となく孝輔は母や真理子、それに祖母と話していた様な気がする。

和也は父一筋だった。

たまにおばあちゃんとおかずを代えっこして笑っていたが… 
孝輔たちのことは眼中に無かったようだ。


しかし今、こうして広志の口から出る和也の様子に、不思議とすごく愛情を感じていた。


もっと和也の事を知りたい、という気持が膨らんでいた。


自分の置かれている状況は最悪だが、
和也の事を考えていると、不思議とその不安が和らぐように感じられた。


それで広志が持っていると言う、
悟のハーバード大学での卒業式の写真を見せてもらうためにアパートに寄った。


成績優秀な悟は、普通二年はかかるロー・スクールを一年で卒業した。


ちょうどその頃、広志は大学三年生。

そして幸運にも、野崎組はボストン郊外に架けられている
橋の補強工事の手伝いに声がかかり、

かしらの孝太を初め,山根正一、あきら、と言う実力者と
高峰健一、川原義則、それと見習いの松井明夫の6人が
二ヶ月の予定で行っていた時だった。


それでアメリカ留学中の和也が言い出しっぺになり、
悟の卒業式に出席しようと話をまとめた。


広志はなるべく家を留守にしたくなかったが、和也の要請で、悟の母親明美、
愛美(山根の養女)と弟の裕(当時12歳)を連れて渡米することになった。


その卒業式の前日に学長ハウスでパーティーが行われ、その時、健一以下は宿舎に残ったものの、孝太、悟の父親の山根、それにあきらまで明美たちと合流してその場に出席。


とにかく学長初め学生がいる中で、和也を中心に悟もはしゃぎ、
釣られて広志とあきらまでもが、
パーティーのショーさながらに場を盛り上げた事があった。