ツインの絆


「孝輔、ぼつぼつ帰ろうか。」



 孝輔の様子に何かを感じた広志が声を掛けている。




「大輔は張り切っているね。あの調子なら地区予選は楽勝だ。」



戻り道、広志も大輔の動きに触発されたような言葉を出している。


そして隣で落ち込んだ様子で、うつむき加減に歩いている孝輔に話しかけている。




「孝輔はどんなスポーツが好き。」


「僕は… 別に… 考えた事も無かった。」



バイオリンさえ弾けたら良かったから、と言いたかったが、
今となってはそれも… 



「じゃあ、孝輔も和ちゃんと同じで、体育の時間は保健室。」



広志は和也が体育の時間には、
いつも保健室で昼寝をしていたのを思い出している。


いや、昼寝だけなら良いが、ランドセルに教科書ではなく、
気に入った絵本を入れて登校し、保健室のベッドの上で、
大きな声で、保健室の先生に読んで聞かせていた、
と言う事も聞いたことがあった。


広志が転入した時だったから、和也は三年生だった。


ちょうど悟が中学に入った時だったから、
和也が学校をサボるのも半端ではなかった。


もっとも広志がいると言うことで、一緒に登校はしていたが… 
広志はそんな事まで思い出していた。


そして孝輔の曖昧な返答に、
広志は和也と同じように保健室を連想したようだ。



「えっ、いえ、僕は… あ、そうか。
僕は走る事が好きでした。マラソンも… 」



自分が保健室… 
そんな事は一度もしなかった孝輔は、慌てて返事をしている。


おとなしくて真面目な性格の孝輔には想像も出来ない行為だ。


いや、したくても、する勇気も無かったのだろう。



「すごいじゃあないか。僕は体力が無いから長距離は駄目だった。
勿論頑張ったけど、」




その時、孝輔の携帯がなり… アキからだった。