ツインの絆


「エイッ。」



体育館に近付くと、バスケットボールの飛び跳ねる音や掛け声に混じって、竹刀の打ち込む音や気合いが聞こえて来る。


二人は剣道部に近い窓から中を覗いた。



「面をつけているから大ちゃんがどこか分らない。」



剣道部は半数ぐらいが二人組になり、向かい合って打ち込みの練習をしていた。



「広志さん、あそこ。あの壁側の右から二番目が大輔です。」



いくら大輔が面をつけて、他の部員達と同じような格好をしていても、
練習風景など一度も見たことの無い孝輔だったが、すぐ分った。




「本当か。さすがだな。なるほど、大輔の打ち込み方には迫力が感じられる。」




そんな事を話していると全員礼をして、壁際に座り丁寧に面をはずした。


そして大輔は気づいていたらしく、
嬉しそうな顔をして二人の居る窓際に駆け寄って来た。


クラブ活動として仲間と練習しているところなのに、
自分にだけ見学者、と言うことで恥ずかしいかも知れない、
と気を使っていた孝輔だったが… どうもそんな雰囲気は感じない。


嬉しそうな笑みを浮かべている。



「ちょっと覗いていただけだけど… 邪魔なら帰るよ。なあ、孝輔。」



広志は孝輔に合図しているが… 
孝輔は信じられないぐらい感動していた。


一度、中学の時父に言われて、大輔の試合を見に行ったことがあった。


しかし母の行動が遅く、着いた時には大輔が一本を取り、試合を決めていた。


だから、どれほどの迫力だったかは分らなかった。


ただ、父が応援に来い、とあの時は珍しく皆に言ったから、
母の車で、バイオリンの練習が終わってから出かけたが…