ツインの絆


ヘアースタイルも、全体の雰囲気も、かなり異なっているはずだが、
他人から見れば分らないのかも知れない。



「いえ、あの、僕は… 」



孝輔は慌てて返事をしようとしたが、隣から広志が笑みを浮かべて助け舟を出した。



「校長先生、大輔君は道場で竹刀を振っていますよ。彼は野崎孝輔君。
大輔君の双子の弟です。今日は二人とも時間が出来たから、
ちょっと大輔君の練習光景を見に行こう、と言うことで来たのです。」


「野崎孝輔です。」



孝輔は慌てて自己紹介した。



「いやー、すみません。間違えてしまいました。そうですか。稽古を… 
どうぞゆっくり応援してやってください。じゃあ、邪魔者は消えるとしましょう。」



そう言って校長は去って行った。





「広志さんは学校でも有名人だったのですね。」


「そんな事は無いよ。だけど大学へ入る時、
僕は授業料免除で行きたかったから、推薦状を書いてもらった。
その頃何度か向かい合って話をしたから… それで覚えてくれたのではないかなあ。

だけど、常識的に考えれば、校長たる者は三年間も生徒として過ごした卒業生の顔ぐらい覚えておくべきだよ。知らん、何て言われたらショックだ。」



真実の話として言えば… 5年前、広志が大学を選ぶ時、
教師陣たちは優秀な成績の広志を、
世間の誰もが知っている有名大学へ推薦、もしくは受験させたかった。


元々広志は、悟や和也が受けた高校を受験しても受かっていた実力はあったが、
家から一番近い、と言うことで西部高校を受験した。


大学もレベル云々は考えず、ただ近くて、授業料免除と言う特典が付いた学校を選んだ。


広志は悟と和也が勧めたから大学へ行ったが、父に負担をかけたくなかった。


それで交通費のかからない高校、授業料免除の大学を目指した。


それでも今に至れば、他人の及ばないような事をしている。