「あの人がいいの?」 あたしの身体はビクンと跳ねた。 驚いて彼を見上げると その瞳は乾いてるのに、まるで泣いてるみたいな顔。 彼は知ってるんだ――。 「家族なんだろ?」 瞬きもせず溢れ落ちる涙。 「ただの『お兄ちゃん』なんだろ?」 あたしが今やっと認めたこと、 それを。 いつから? ずっと? 「……ごめん」 謝ること以外、何があたしに出来ただろう。 キスを夢見てた相手は、 彼じゃなかった。 ファーストキスを強引に奪われたあたしより 奪った彼の方が、傷ついてる。