千夏姉と、
部屋に二人きりってのも
あの夏以来で久々だった。




千夏姉は、
あたしにケーキもすすめる。


「ほら、このチーズケーキ、
すごく美味しいのよ。食べて」


「うん。いただきます。

…わぁ、ほんとに美味しい!!
北海道楽しかった?」


「楽しかったよ〜。
はい、お土産♪」




『新婚旅行のお土産あるから』


今日の新居訪問は、
そう言って誘われた。


当初の予定では、
新婚旅行はヨーロッパに
行くつもりだったらしいんだけど、

妊娠中だから国内にしたみたい。



「わざわざありがとう、千夏姉」

渡された紙袋の中には、
お菓子とか、
ご当地キャラのペンやハンカチや、
有名な動物園で買ったと思われる
ぬいぐるみが入っていた。




あたしは
もう一度ブーケのお礼を言った。


「いいのよ〜。
シイナのおかげで
今日があるようなもんだし」


「何言ってんの、大袈裟だって」


「そんなことない。
感謝してるのよ」




あたしがかつて
千夏姉のアパートに
お世話になってた頃。


千夏姉と友吾兄がケンカして
別れの危機に瀕したことがあった。