姫島北斗は少し考えた後、
「姫ちゃんって呼んでくれるならいいよ?」
と、言った。

…はっ?

ポカーンとする以外どんなリアクションがあると言うのだろうぁ?

仮にも上司である人に、あだ名で呼ぶって言うのはないのでは…。

「なっちゃん?」

そう呼んだ彼に、
「桃井です!」

私は言った。

「私は桃井です!

ちゃんと名字で呼んでください、係長!」

そんなことを言った私に姫島北斗は苦笑いすると、
「係長って、何かなれないなあ。

と言うよりも、名字で呼ぶことも呼ばれることにもなれてないから」

今まで社会人としてやって行くことができたのが、不思議だと思った。