「好きな人を助けてあげられなかった」

俺の唇が動いた。

彼女は驚いたように目を見開いた。

だけど、その目はキリッとなる。

「助けてあげてください」

彼女が言った。

「彼女が好きなら、助けてあげてください。

わたしなら、そうしてあげます」

お姫様…なのに、
「陣内さんのためなら、わたしは何でもします」

たくましい子だと思った。

強い子だと思った。

好きな人を助けるためなら、命を投げ捨ててでも助けるんだろうな。