だけどムキになればなるほど、それを認めてしまうような気がした。
だからあたしはそうじゃない、と自分に言い聞かせるため、叶夜の前では大人になってやる。
「叶夜が誰を好きだろうと叶夜の勝手じゃない。あたしは別に、人の恋路に口出ししようだなんて思ってないわよ」
あたしは言いながら腕を組む。
あたしは叶夜の顔を見なかった。
なんとなく、どんな表情をしているのか、わかったから。
きっと、遊んでもらえなくて、つまらなくて、拗ねている子供のような顔。
そんな時だった。
「先生、わたし、藤堂さんの隣がいいです!!」
誰もがびっくりしただろう。

