きれい。 この町の見慣れているはずの景色を見て、そう思った。 いつもは何とも思わなかったのに。 白黒に見えていたはずの世界なのに。 「…?」 …雨、が降ってきた? いや、違う。 下を向くとぽたぽたと自分の掌に雫が零れ落ちる。 (おかしい) そう思ってあたしは乱暴に目を擦る。 溢れ出る”それ”は止まらない。 (おかしい、おかしい、おかしい…!!)