「俺は火星人じゃねぇ。日本人だ!その前に地球人だ!」




(…そんなくだらないところを根に持ってたのね)




「知ってるわよ。んなこと」




彼の馬鹿馬鹿しい熱意が鬱陶しくなり、冷めた返事を返す。


彼は自分の席の前に立っていて少々距離は遠いが、表情はよく見て取れた。


あたしは真っ直ぐこっちを見てくる顔面野朗から少し目線を逸らす。




「別にチャラつきたい訳でもねぇから。全部取ってやった」



「好きにすればいいじゃない」




あたしは腕を組み、ツンとした態度で返事をする。


彼の妙に真剣な目を見ていられなくなり、顔を深く斜めに俯かせた。



あたしに告白してくる物好きは幾人かいた。


だけど、あたしの言葉を真に受けて、本気でそこまでしてくる奴なんて、一人もいなかった。