トクン、、、トクン、、、

トク、、トク、、トク、、

トクッ、トクッ、トクッ、





今まで感じた事のない感覚。


それともあの頃、全ての感情と共に置いてきてしまった?



白黒だと思っていた醜い世界は、今だけ鮮やかな色に染められた。


それらはすべて淡い桃色がかかったような、そんな色。




「ふうん」




彼は一言漏らすと、あたしの元へ歩いて近寄ってきた。


鼓動は速度を増して鳴り響く。




あたしは泳ぐ目線を隠す為に顔を俯かせ、胸の前に両手をそえ、力強く握り締める。



歩を進める音は大きくなり、あたしの前まできて止まった。