大きな黒い門のそばの赤いレンガの塀。
何十年も手入れされてなく伸びきった草木が隠すように、赤いレンガの塀の一部分が崩れ落ちたように空いている穴があった。
公太と友希は、崩れ落ちて一部分に穴が空いている赤いレンガの塀を見つめる光希に近寄った。
『本当だ。ここからなら中に入れる』
赤いレンガの穴を見て、公太は嬉しそうに告げた。
『入ろうぜ、友希』
公太は少し脅えている友希の背中を押した。
『うわっ!!』
公太に背中を押された友希が、声をあげながら1番最初に穴をくぐり抜けた。
その瞬間、友希は一瞬だけ背中にゾクゾクと走るものを感じた。


