あたしには忘れられない人がいた。


どんなに忘れようとしても


どんなに嫌いになろうとしても


好きな気持ちを忘れることが出来なかった。


今までで一番愛した人。


心から本気になれた人。


その人は彼女なんていなかった。


あたしとは友達以上恋人未満の関係。


かっこよくて、モテるのに彼女を作らなかった。


あたしはそれが嬉しかったんだけど。


あたしが彼の一番になりたかった。


他の女子より一番彼の近くにいる自信はあった。


まわりもわかっていたから。


それだけでもよかったのに


あたしは欲張りだから


彼の彼女になりたかったんだ。


告白して振られても


友達のいう関係は崩れなかった。


彼もあたしを必要としていたから。


彼はサッカー部であたしは吹奏楽部だった。


彼ははっきり言ってそんなにうまくない。


レギュラーにもベンチにも入れなかったから。


だから毎回大会では応援。


それはあたしも知っていた。


ほんとは試合がしたいって落ち込む彼をあたしは毎回励ましていた。


彼もあたしが落ち込むときは励ましてくれた。


そんな仲だった。