「いつかママが花の手入れをしながら言ってたの。どの花もキレイだけど、同じものは一つもないのよって。
だからすみれもすみれにしか咲かせられない花があるはずよ」


そう話し終えたお姉ちゃんの瞳は水晶玉みたいにキラキラ光ってなんだか吸い込まれそうになる。

「‥‥なんだかお姉ちゃんカウンセラーの人みたい。
私にしか咲かせられない花、頑張って見つけるよ!」


いつの間にか私達は手を繋ぎあっていた。


そして沈黙の二人の間にお姉ちゃんの携帯のメロディーが鳴り響いた。


「はい、百合です‥‥」


電話に出たお姉ちゃんの耳元から微かに男の人の声が聞こえてきた。


「明宏さん、ごめんなさい‥‥すぐ行きます」


あ、明宏さんはお姉ちゃんの彼氏。


「お姉ちゃん、明宏さんと約束してたの?」


「そうなの、ごめんねすみれ行かなくちゃ‥‥」