「エンジェル…モードか」

サーシヤの額から、冷や汗が流れた。

エンジェルモードとは、アルテミアのモード・チェンジの中でも、上位進化といわれ…数倍にもパワーアップした姿を言うのだ。

「…」

アルテミアは空に浮かぶと、翼を羽ばたかせた。

それだけで突風が発生し、サーシヤはふき飛ばされた。



「な!」

突風は、グラウンドにいた九鬼達にも届いた。

いや、それだけではない。

別方向からも、突風は吹き…九鬼達はグラウンドを転がった。


「い、たたた…」

砂煙が巻き上がり、それが晴れた時には、九鬼達のそばに、サーシヤがいた。

「チッ」

サーシヤは舌打ちすると、頭上を見上げた。

「万事休すか」

6人を囲むように、空中に浮かぶ5人の天使。

「な、何というプレッシャー」

さやかは、変身することも忘れていた。



「終わりだ」

先程の部屋にいた光一は、にやりと笑った。


5人のアルテミアの手にいつのまにか…槍が握られていた。

「ま、まさか…」

サーシヤは、その体勢を知っていた。

槍を一斉に、脇に挟むアルテミア達。

(女神の一撃か)

ロバートは、呟くように言った。

(防ぐ手立ては…ない)



誰もが絶望した時、5人のアルテミアは空中で、撃墜された。

「な!」

目を見開く九鬼達の頭上で、無数の火の玉が飛んできて、5人のアルテミアに炸裂したのだ。




「うおおっ!」

雄叫びを上げて、俺は…大月学園の上空に浮かぶアルテミアにそっくりな相手に、接近しながら、攻撃を仕掛けた。

背中につけられた炎の羽から、無数の火の玉を発射した。

「よりによって!アルテミアの姿だと!」

回転する2つの物体が、猛スピードで飛ぶ俺に纏まりついた。

その2つを掴むと、十字にクロスさせた。

「いくぞ!」

ライトニングソードを握り締めると、俺は5人のアルテミアに斬りかかった。