そして、その間で…両手を広げ、赤星浩一を庇う自分の姿が。

(あたしは…種火)

フレアは、ゆっくりと目を開けた。

「人は、壊れてなどいない!」

「そうね」

フレアは頷くと、身を屈め…床に手をつけた。

そこは、先程の戦いで腕長の男が倒れ、消えたところだった。

「微かに魔力を感じる。これは、人間のものではない。やはり…やつらの後ろには、操っている者がいるの!?」






「フフフ…」

フレアとサーシャが、廊下に残った魔力を探っている頃。

とある場所で、1人の男が座っていた。

「地獄…」

何もない場所で、男は闇の中にいた。

「天国」

にやりと笑い、

「それらは、すべて…この世界にある。勿論…闇と光も」

ゆっくりと目を開いた。

しかし、眼窩に…眼球はなかった。

「そして、すべてがある!すべてが!」

男は立ち上がった。

「それらは、人が作った!人が!人が!人が!作ったのだ!創造力という力でな!勿論、絶望も!そして、希望も!人は常に、光と闇!まったく対極にあるものを想像した」

男は前方を睨み、

「人間の想像したもので、実現しないものはないと!断言するものもいる!ならば!」

何もない空間を拳で叩いた。

「神や悪魔も、存在するのではないかね?それは、各宗教が唱える人間をつくりし神ではなく!」

男は天を仰いだ。

「人間が創った神!いや、悪魔だ!」

興奮して叫んだ瞬間、男の口が裂けた。



「そうね」

その闇の中で、ティアが笑った。

「そう…」

ジャックは、煙草に火を点けた。

「人間は、自ら創った悪魔によって、真の地獄に落ちるのさ」

「しかし、悪魔をつくれば…神もいるはずだろ?」

ジャックは、煙草を吹かした。

「心配しなくていいわ。人の神は希望。この世界では、希望を抱いて生きている者は少ない。神の力は、悪魔に比べて微々たるものよ」

ティアは笑い、

「今頃…神の言葉は、虚しく響いてるはずよ」

そして…目を細めた。