「なぁ、何で?」
さっきから、ロケバスの後ろの席で呟き続ける男。
「俺、母校じゃないんですけど?」
「はいはい。」
適当に返事をして知らんふりを決め込んだ。
「なぁ、事によっては協力しますよ?」
「協力?」
「きょ、う、りょ、く。」
俺の隣に無理矢理座りながら睨む凛。
「白状しな。」
「白状って……。」
雑誌の取材。
一緒にドラマをやってるせいもあり、一緒の取材が多い。
行きたいところ、どこでもリクエストして良いって言われた。
母校訪問。
俺がつい最近まで通ってた母校。
しかも、ドラマ収録のため、午前しか空いてない。
ダメモトで言ったリクエスト。
意外にあっさりOKが出た。
あんなに芸能活動に眉を潜めた学校が、OKを出した。
俺の作戦が動き始めた。
「アイドル、してください。」
俺の言葉にポカンとする凛。
「言われなくてもアイドルですけど?」
「いや、極上のやつを。」
「極上の?」
「極上のアイドルでお願いします。」
「極上のねぇ………。で、君は?」
「精一杯の極上をお届け致します。」
「見返りは?」
「…………俺のキス。」
凛がニヤリと笑った。
「ありがと。頂く。」
言いながら迫ってきた。
「凛………ここじゃ駄目だよ。」
「何で?」
「だって………ほら。」
迫られながら指差す方には、カメラマン。
「撮って良い?」
「綺麗に撮ってね。」
二人寄り添う写真が表紙になった………。

