「いらっしゃいませー」





自動ドアが開くと。

冷たい心地よい空気と一緒に、やる気のなさそうな店員さんの声が流れてくる。





…あんなのがウチの店にいたら。

私、挨拶ができるまでバックヤードでお説教するわ…。

店員サンを横目でチラリと見ると。

誰も気付かないくらいのため息を吐いた。





店内に入ったのは外が暑かったから。

ただそれだけだったから。

だから特に用もなく中をウロウロウロウロ。





店員サンの他に店内には。

これから出かけるであろうカップルと家族連れ。

雑誌コーナーの前に男の人が2人。

私も暇潰しにと雑誌コーナーに足を向けた。





外を見てもとーやクンが来る気配もない。

壁に掛かってる時計を見ると。

10時を5分くらい過ぎていた。





…からかわれたかな…。





そう思って。

手に取った雑誌を棚に戻そうとした瞬間。





「……ブッ…」





隣の男の人が吹き出した。