「お母さん、史佳はどう?」


「とりあえず今は、切ったところを縫ってもらってるところよ。思ったよりも出血量はなかったから、輸血とかの心配はないらしいけど、傷が思ったよりも深かったから、それで縫うことになったの。」


しばらく廊下で待っていた。


そしたら医者が出てきた。


「もう大丈夫です。場合によっては、神経まで切ってる可能性もあるので、麻痺など障害が残る可能性はありますが、後日抜糸すれば大丈夫でしょう。」


「先生、どうもありがとうございます。」


「ところで、高橋さん。鈴木さんのご両親の連絡先はわかりますか?」


「それが…。」


言葉に詰まっているお母さん。

代わりにボクが答えた。


「史佳…鈴木さんの家庭は色々あって、今は帰ることもできないし、連絡も取れない状態です。それで昨夜から、ボクの家に泊まっていたんです。」


「そうですか。本人に連絡先を聞いたんですが、どうしても答えようとしなかったもので…。あ、特に入院する必要はないので、このまま帰っても大丈夫ですよ。3日くらいしたら、抜糸をしにまた病院へ来て下さい。」


そう言われて、

やっとボクは史佳に会えた。