昼ご飯を食べに食堂に行ったり、友達の所に行ったり。


楽しそうに笑いながら。


私は席を立った。
裏庭に行くために。



ここの学校の裏庭は広い。
なのに、ここにくる生徒はほとんど居ない。
だから私のいい居場所になっている。


裏庭の片隅の木に腰掛ける。
残暑の暑い日差しを遮ってくれるこの木はイチョウの木。


別に裏庭では何もしない。昼ご飯は基本的に食べない。ただここにくる理由はーーー


『にぁー』


これだ…。
小さな鳴き声をあげ、ふわふわの毛をスリ寄せてくる猫。


目は大きく、柔らかい真っ黒な毛並み。小さい体にかすれた小さな鳴き声。


私が学校にくる唯一の楽しみかもしれない。