先生は、ポケットから財布を出して一枚の紙を取り出した。



「ん。手ー出せ。」



あたしは両手を先生に向けた。



そこにヒラリと落ちた一枚の紙。



「何これ。」



紙を裏返すと、11文字の数字が書いてあった。



「携帯番号?」



「なんかあったらそこに電話しろよ。一応 常に出れるようにしとくから。」



「授業中鳴っても知らないよ?」


あたしは笑って言った。



「マナーモードにしときゃ教卓で見えねえだろ。どうせ授業中、静かじゃねえしよ。」



先生は呆れたように言った。




あたしはくすっと笑った。




ありがとう。先生。



こんなに生徒思いな先生、初めてだよ。