ロールプレーイング17

エレベータを降り、僕たちは廊下を歩いた。僕のはくスニーカーと井上さんのはく革靴の踵が交互に音を立てて鳴り響いていた。

「ここだ、、。」
 井上さんが、病室の前で立ち止まった。果たしてこの部屋を病室と呼んでいいものなのか僕に知るすべはなかったけど、、。井上さんはゆっくりと部屋の扉を開けた。そこには見覚えのある後姿があった。麗華さんだった。背中を見ただけで、泣いていることがすぐに解った。僕たちはゆっくりと静かに、麗華さんの後ろまで進んだ。麗華さんの横顔から、哀傷を感じ取った。麗華さんの唇は震えていた。まるで硬いキャンディーでも噛み砕こうとしているように。僕は目を閉じた。今すぐにベッドに横になる僚介の顔を見ることが出来なかったから。

「一見てやるんだろ。僚介の寝顔を、、、。」

 井上さんが僕の肩を叩いた、あの時と同じように、初めて新聞配達に出た朝のように、、。
僕はゆっくりと目を開けた。
 
 真白な寝具に包まれた少年は間違いなく僚介だった。

 所々に生傷があり、生きている時とは明らかに違うその姿に僕は戦慄を覚えた、、。

「嘘だろ、、、。」

 ダムが決壊したように僕は泣いた、、。恐れで体が震えた。泣いても泣いても涙が止まらなかった。

「僚介!!」

 何度叫んでも僕の言葉は僚介には届かない、、。