ロールプレーイング17

夢を見た。僕は小学校に通っていた。抜けが悪い景色の中に懐かしい残像があふれていた。春だった、音楽室の一番端の席で、僕は外の景色を眺めていた。春時雨、、突然の雨、、、。窓ガラスが淡く滲んだ。冷たい音を立てて、桜の花びらを散らす雨、心が少し寂しかった。窓のむこうの遠くから、誰かが僕を見つめていた。一瞬でそれが僚介だと気付いた。授業だて事なんかすっかり忘れて、僕はいてもたってもいられず席を立ち、窓を開けた。勢いよく倒れた椅子に、クラス中が振り返った。
 そこにはもう僚介の姿は無かった。今さっきまで、そこに僚介がいたことを忘れてしまうぐらい、窓の外は静寂に包まれていた。雨は降りしきる、冷たい雨に僚介は濡れたりしていないだろうか。
「奥田君授業中よ。席に着きなさい。」
 音楽担当の森野美香子が、僕に注意を促した。

 教室中が、笑いに包まれる、、。僕は無言で椅子を直し、着席した。

 教室のドアが開かれた、、、。

「僚介?」



 できることなら、さめないでほしい夢だった。
 アラームが鳴った。僕を現実に引き戻した。あまりにも長い時間眠りについていたせいで、時間の感覚がすっかり失われていた。軽い頭痛がした。また今晩も配達?いや、僕は二度とあそこには行かない。意地を張っているだけだとしても。
ソラがブランコに飛び移った。その音に僕は振り返った。
「ソラ。」 
 寂しい時、心の隙間をソラが埋めてくれた、、。
 
 ベッドから立ち上がり脚を踏みしめた瞬間、鈍い音を立てて何かが割れた。前に僚介に付き合ってもらい一緒に買いに行ったロールプレーイングゲームのケースだった。
「クソ、、。」
 小さくボクそう履き捨てたが、特に痛いとも思わなかった。
 自分にとって一番大切なものが何か解らなかった。