ロールプレーイング17

僕らは自分たちに科された新聞を、荷台に積み配達を開始した。

 一つ不思議に感じたことがある。やってしまうと面倒くささが消えるということだ。さっきまであんなにだるくてやりたくなかったことだけど、新聞を積みいざ配達に回り始めると、知らぬ間にさっきまでの、やる気の無さがすっかり消えていた。世の中のリーマンたちもこんなふうに、世の中の気だるさを掻い潜り平凡な日常を積み重ねているのだろうか、、、。いつまでも変わることの無いこの永遠の日常を。

 僕は確実に順路を回った。昨日より多少の緊張感は抜けていた。順路張も昨日よりスムーズに読み取り、確実に昨日より早いスピードで僕は配達をこなしていった。途中で僚介のことを思ったりしながら、、。そして無意識の感慨にはまったりもした。学校のこと、家族のこと、、、。それは昔の思い出だったり、、、。ペダルをこいで変わる景色と同じように、僕の胸中にもぐるぐると思い出のかけらたちが駆け巡った。
 いつしか変わることの無い日常に自分がはまり込んでいることすらすっかり忘れて、、。僕にとっての日常は、、。いったい誰が作り出すのだろう、、。期待をしたって何も変わることの無いこの日常を、、。僕が、僚介が、、。そして僕を取り囲む全ての人が?神様なんて、どこを探したっているはずも無く、時間と空間をさえぎる物など何一つ存在しない。時は自然と流れ、今日が積み重ねられていく。もしかしたらって思ったけど、そのとき僕は答えを出だせなかった。

 昨日と同じように太陽は昇り、草いきれの中僕は自転車を走らせた。いつかの夏休みもこんなふうに朝早くから、カブトムシを探しに、一人自転車をこいだっけ、、。
 あの時お父さんは僕に虫かごを買ってくれた、、。
 
 気が付くと、僕が積んだ新聞は、あともう残りもわずかになっていた。残りの少なくなった新聞を見ると、もうすぐだっていう開放感に似た感情に包まれて行くような感じがした。そして僕は今日も全ての新聞を配り終えた。一から十まで、単純作業を繰り返す仕事は、セオリーなんか関係なく、一のことを覚えれば、十のことまでできる物だと思っていた。でも″最後まで成し遂げる″ってことは結構きつくて、だけどそれを成し遂げるってことは意外と立派なもんなのかなって、ちょっと自己満にも似た感もしたけれど、なんか素直にそう感じた。