ロールプレーイング17

再び僕はそう答えた。それ以外の言葉は何の言葉もいらなかった。

「じゃ、七時にな。」

 僕らが約束らしい約束をしたのは、これが始めてだったと思う。
 僚介と別れ、家に帰ったあと、ソラを鳥かごの中に放し、ゆっくりと扉をしめた。ソラも少しずつ、この環境の慣れてきたのか、かごの中を自分から移動するようになっていた。新鮮な小松菜の葉を二枚ちぎり、かごの中に差し込んだ。
「いっぱい食べろよ。おまえは僚介の大事な預かりもんなんだから。」
 無意識にソラに話しかけている自分に驚いた。この僕が、、、。鳥に話しかけるなんて、僚介じゃあるまいし。そう思ったとき今の僕を作りだしている、原材料があるのだとしたら。そのほとんどが、僚介との付き合いから作られてるような気さえした。人を信用して、思いを伝え、誰かの願いを叶える、意外といいもんだなって思った。
ソラの瞳は相変わらず澄んでいて、欲のかけらを一つも見出すことができなかった。
 欲?
 欲とはいったい何なんだろう、欲しがる気持ち、望を求める気持ち、対外の辞書や辞典には、そんな風に説明されているんだと思う、僕の望、それは〝ただ完全を望むこと〟ただそれだけを望んでいる。落ちぶれ堕落した人間は存在価値や理由なんか誰も求めちゃいないのだから。だけど今僕の心に一つ変化が起きようとしていることはたしかだった。僚介っていう存在にめぐりあえたことで。初めてだったこんな感情、他人とこんなに親しくなるなんて。仲間?友達?親しくなれば親しくなるほど、自然と満たされる感覚、だけどその感覚に反比例して一つ思いもしないような感情も芽生える物だって同時に僕は気付くことになった。それは大切な物を失うという怖さが付いて回るということ。


 僕は七時丁度にみどりのオアシスに到着した。薄暗い公園はいつもとは別の場所にさえ感じた。蛍の光のように赤い光が一瞬明るく付いて消えた。僚介がベンチでタバコを吸っていた。そしてすぐに僕に気付いた。