ロールプレーイング17

「恵まれてんな、一は、、、。俺んちなんかここにあるものなんて、一つもないぜ!貧乏暇なしの母子家庭だからな~。」
 僚介は冗談っぽくはにかんでそういった。悪気は感じなかったし、さらっといったもんだから、僕はその時何も思わず何も答えなかったけど。その後僕は一人になったときそのことを思い出して、なんかちょっと自分が寂しくて、〝物〟なんかぜんぜん持ってないやつよりも自分は感情が乏しいんじゃないかとか、、、当たり前ってどんなことだろうとかって思ったりもした、、。とにかくずっと後になって小さな間違いを知ることになったんだけど、、、。
〝今の僕は今の僕でしかなかった″
 僕らは、鳥かごを組み立て、小鳥を止まり木にそっと放した。水入れに水を汲み、練り餌を練り、キャットフードをふやかした。

「ほら食えよ。」
 僚介は、止まり木にとまった小鳥の口ばしの先に、今作ったばかりの餌を持っていった。だけど、小鳥は餌を食べる様子は全く無く、ただじっとかごのすみにうずくまっていた。
「おかしいな~。ぜんぜん食わないな。」
僚介は、いったんかごから手をもどして首をかしげた。
「あの、院長嘘つきやがったか?それとも餌が食えないほど弱ってんのか?」
 僚介は、腕を組み胡坐をかいて、僕の方に視線を向けた。
 僕は、院長の言ってたもう一つのことを思い出した。
「ちょっとまってて。」
 僕は僚介にそういって、部屋を飛び出し階段を駆け下りた。院長は青菜をあげろといっていた。僕は台所にある冷蔵庫のドアを開いた。
 青菜、小松菜、、。小松菜は無かったけど、タイミングよくほうれん草が一株野菜室に眠っていた。僕はその葉を二枚むしりとり、それを握りしめて自分の部屋に掛けもどった。
「ほらこれ。」
 僕は、僚介にほうれん草の葉をさしだした。
「小松菜か!?」
 僚介はそう言って、僕の持ってきたほうれん草に手を伸ばした。
「小松菜じゃなくてほうれん草。」