ロールプレーイング17

「本当だ、口ばしの端っこが、黄色いぜ、な一。」
 僕は、それを確認して頷いた。そしてやっぱり専門家は詳しいんだなって、同時にちょっと感心もした。鳥の世界、そこも僕の知らない世界だった。

「順番が着たら、お呼びするので待合室でちょっと待っててくださいね。」

 僕らは、静かに席についた。やっぱ鳥専門の病院だけあって、絵や置物はみんな鳥の物ばかりだった。ここでも僕は挙動不審に思われない程度に、周りの様子を窺っていると、隣に座る僚介と目が合った。

「鳥ばっかりだな。」

 僚介はまたしても、僕の心を見透かしたようにゆっくりと口を開いた。僕は頷いて正面に飾ってある中でもひときわデカイ〝白鳥の飛び立つ瞬間〟の絵に視線を戻した。青が基調としたこの絵は、見れば見るほど寂しさや孤独のような物が感じられた。誰がどんな思いでどんな瞬間に描こうとしたのかなんて、この絵を見る全ての素人、、いや、全ての人間に、知る由もないことだったけど、一番最後に取り残された白鳥がみんなの元へ必死で飛び立とうとしてる瞬間とか、一番遅く大人になったこの白鳥が自分の居場所をさがしに旅立つ瞬間とか、、、。一番最後とか一人ぼっちとか言う言葉がやけにいっぱい浮かんできた。けど、とにかく僕の考えた物はどれもしっくりいくものではかった。大体の名作なんて言われる絵には物知りぶった、芸術マニアが〝この作品の思想″だの学説だの行動などを並べたてているけど。もう死んだ人間がほんとうはどんな気持ちでその絵を書いたかなんて絶対にわかりっこないって僕は思う、きっと誰かのでっち上げに決まってるっていつも僕はそう思っていた。でも僕はこの絵を見て感じたんだ。〝この絵の思想″なんて物その絵を見た本人が決めればいいことなんだって。


「次にお待ちの方診察室の方にどうぞ。」

 診察室の扉が少し開き、中から受付の看護師とは別のスタッフが顔を出し僕らを中に呼び入れた。