「……んだよ」

不機嫌オーラ全開で、あたしを見つめる楓。

その痛げな視線に、あたしの顔がみるみるうちに歪んでくる。


うっ……。

だ、だめだめ!

この視線に負けちゃだめ!


頭をブンブンと振って、あたしは意を決して口を開いた。

「あ、あのね! 今日の放課後、蓁宮椿姫サンと、その……な、なに話してたの!?」

あたしがそう言うと、楓は何事もなかったような口調でサラッと言い放った。

「別に。普通の話」

楓は短いため息をついてソファーに座り直すと、いつの間にかまたテレビに見入っていた。


普通の話って……


どんな話が普通の話なのよぉおおおお!

女の子特有の視線で楓に訴えても……


「ぷっ…あははっ!」


お笑い番組を見て、爆笑している楓は気づくはずもなく……。


あたしは、呆気なく敗北したのであった……。


チーン(泣)



ーーーーーー……………