なんで……。

なんで2人が一緒にいるの……?

真剣に見つめ合う楓と蓁宮椿姫サン。

この距離からでは、なにを話しているのかは分からないけけど、向かい合う2人はすごく真剣な表情だった。

あーちゃん達と、3人でその光景を目を凝らしながら見つめる。

2人は一体、なにを話しているの……?

不安ばかりが募っていって、胸が押しつぶしされそうになる。


蓁宮椿姫サンが、楓になにかを訴えているように見えた。

それに対して楓は首を振って、淡々と口を開く。

みるみるうちに蓁宮椿姫サンの表情が暗くなって、終いには俯いてしまった。


楓は、追い討ちをかけるかのように、なにか言葉を吐き捨てると、蓁宮椿姫サンを残したまま、学校を後にした。


「あの2人、なにがあったのかしら……」

あーちゃんは不思議そうに首を傾げながら、俯いている蓁宮椿姫サンを見つめた。

蓁宮椿姫サン、なんかすごく落ち込んでるみたい……。

蓁宮椿姫サンは、しばらくすると、俯いていた顔を上げて、黒髪を揺らしながら校門を後にした。