あっ、あれって……こないだの……。
その駐車場にいたのは、昨日ぶつかってしまった男の人だった。
男の人は、パンを口にくわえながら、バイクにエンジンをかける。
渡すなら、今しかないよね……。
走っていた足を止めて、スカートから十字架のネックレスを取り出す。
「あ、あの……」
恐る恐る声をかけると、男の人はウェーブの髪を軽く揺らしながら、振り向いた。
「なに?」
ニコッと微笑む姿は、とっても爽やかだった。
「これ……」
あたしは十字架のネックレスを差し出す。
それを見て男の人はハッとしたような様子で、自分のポケットの中に手を入れた。
不思議そうな顔で、あたしを見つめる。
あ……そっか。
あの時、あたしの顔見てなかったから分からないのかな……?
「あ、あたし、こないだアナタにぶつかってしまって……」
男の人は思い出すかのように、顎に手を当てて考え込む。


