ま、まさか………これならの楓とのこと?
お母さんの真剣な瞳と、その口調で何となく予感できた。
やっぱり、もう一緒には暮らせないのかな……。
「そうなると、楓チャンとの同居生活は終わっちゃう……」
お母さんが呟くようにそう言った。
やっぱり……
今までの思い出を思い返してたら途端に悲しくなってきて、溢れ出てきた涙を懸命に堪えた。
「……って、あなた達ふたりは思っていたかもしれないけど、心配することないのよ♪」
お母さんの代わりに、今度は鈴さんが口を開いた。
「へっ?」
拍子抜けして、俯いていた顔を急いで上げる。
楓も驚いたように目を丸くして、次の言葉を待った。
「ふたりには卒業まで内緒にしてたけど、この家、リフォームすることにしたのよ」
お、お母さん……?
リフォームって、どういうこと?
「もちろん、隣の相沢家も使ってね♪」
「いや、あのぉ……」
話がまったく読めないんですけど。
隣は確かに10年前に楓が住んでいた家だけど……あたしと同居するようになってからは、ほとんど空き家状態だった。
そこも使って、リフォーム……?
一体、どうゆうこと??
パニックを起こしているあたしと、驚きを隠せない表情の楓に鈴さんが分かりやすく説明してくれた。
「卒業後、ふたりを離しちゃうのは可哀想だと思ったの」
「でも、パパさん達はハワイから帰国するし、あたしも春からは隣の家に戻ってくる予定だった」
そうしたら楓と穂香ちゃんは、別々になっちゃうでしょ?
そう言われて、あたしは躊躇いながらも頷いた。
やっぱり、楓と離れるのは寂しい……。
「それで、穂香と楓チャン。あたしとお父さんと鈴ちゃんが一緒に暮らせる方法はないかって考えたの」
「……もしかして、それでリフォーム?」
今までずっと黙っていた楓が、そう言ったお母さんに質問した。
「楓チャンは頭がいいわねぇ~! そう言うことよ」
「ちょ、ちょっと待って! あたし、全然理解できない……」
どうして、それでリフォームに繋がるの?


