「あ、そう言えば。爽はこれからどうするの?」
ふと疑問に思って、あたしは爽に尋ねる。
「……ぷっ」
爽が口を開いたと同時に楓が吹き出した。
「コイツ、お母さんの経営する喫茶店の第2号店が隣駅にオープンするらしくてそこの店で働くんだって」
爽の代わりに楓が口を開く。
「爽に喫茶店って……ぷぷ、似合わねぇ」
あ、そういうことか。
それで楓は笑ったわけね。
確かに、初めて爽が喫茶店でバイトしてるのを見たとき新鮮だなって思った。
けど……いくらなんでも似合わないって……。
「おい! 黙って聞いてりゃ言いたい放題言いやがって……」
「だって、爽に喫茶店だぜ? 似合わねぇだろ」
「うるせぇ!」
楓と爽の口論はやむ様子を見せない。
というか……もうこのふたりのやり取りは、日常茶飯事になってるような……。
そんなことより、爽は喫茶店で働くんだ。
今度遊びに行ってみようかな。
「爽、頑張ってね!」
まだ楓と言い争ってる爽に、あたしはガッツポーズをする。
「おう! いつでも来いよ」
そう言って笑顔で頷いてくれた。
「さぁ、じゃあ名残惜しいけど……そろそろ解散しますか」
あーちゃんがそう言うと、みんなが顔を揃える。
「毎日会えなくなるけど……そう遠くなるわけじゃねぇし、いつでも会えるだろ!」
爽の言葉に小さく頷いた。
それから、あたしたちは涙も見せず、笑顔で手を振って学校を後にした。


